銀色の被毛に美しい緑色の目のロシアンブルーは「猫の中の貴族」というイメージです。ロシアが原産国で、とても優美な姿を楽しむことができます。そんなロシアンブルーが凶暴化するので飼いにくい、といううわさがあるのは本当でしょうか?
ロシアンブルーの性格とは?凶暴って本当?飼いにくいの?
ロシアンブルーは凶暴化して飼いにくいという、ネットなどで見られるうわさは本当なのでしょうか?まずは性格から見ていきましょう。
ロシアンブルーの性格
ロシアンブルーの性格として、まず挙げられるのは、
- 生頭がいい(しつけを守る)
- 静けさを好む(温厚で、おとなしい)
- ご主人が一番(愛情豊か)
という点です。
どれも飼い主にとっては嬉しい特性のはずですが、深読みすると、
- 警戒心が強い
- 神経質である
- 人見知りで排他的
という、少し付き合いづらい面も見えてきます。
ロシアンブルーは飼いにくいの?
ロシアンブルーは、もちろんネコらしく好奇心旺盛な性格ではあるのですが、あまり外交的ではなく、例えば来客が多かったり、子供がにぎやかだったりする家庭には向かないといわれています。
スリムな「フォーリンタイプ」といわれる体型の猫種の中でも、同じ体型のアビシニアンのように広範囲で活動的に遊ぶ、というより、キャットタワーなどの上下運動や自分の居場所を確保する方が好き、という話もあります。
そして何より「サイレントキャット」というあだ名があるのがロシアンブルーなのです。
周囲の静けさを好むだけでなく、自分自身もあまり鳴かず、さらに鳴くときも口だけ開けて人間には聞こえない周波数の「サイレントボイス」という鳴き方をする子が多いようです。
おしゃべり好き・運動会好きの代表といわれているシャムネコなどと比べると、同じような体型なのにだいぶ違いますね!
おまけに短毛種なので毛並みのお手入れも一般的な猫種に比べて大変というわけではありません。
ロシアンブルーは凶暴?
それでは根強く「凶暴」といううわさが立つのはなぜなのでしょうか?一つには、動画投稿などで、不用意にロシアンブルーの興奮した映像が拡散してしまった、ということがあげられます。
もちろん、家ネコとはいえ、猫族の本能が刺激され、凶暴になってしまうことがないとはいえません。人間が怒ったり、キレたり、あるいはそうならないようにスポーツで発散するのと同じことです。
もし、ロシアンブルーが凶暴な行為を取ってしまうとしたら…。その理由は大半の場合、「静かに暮らしたい」「ご主人だけが大好き」というロシアンブルーのポリシーが裏切られたときに起こるもののようです。
愛情が細やかなロシアンブルーは、本来飼い主にとても親しみやすく、住宅事情のある日本の一般家庭にとっては、むしろ静かで飼いやすい品種なのです。
ロシアンブルーのメス、オスで凶暴さは違う?
一般的に、ネコの性別の違いとして、オスは好奇心旺盛で甘えん坊で、よく遊びたがる行動力のある性格、メスは独立精神旺盛で自分の居場所をしっかり確保し、ツンデレでマイペースな性格を持つといわれています。
ロシアンブルーもそういう傾向にあります。どちらかというとオスの方が飼い主にべったりで、後追いなどをする一方で、メスは自分が人恋しくてなでてもらいたい時にだけ、ピタッと寄り添ってくるように見られます。
それでは、凶暴といわれるのはどちらなのでしょう。オスとメスで差があるのでしょうか。もちろん個体差はありますが、どうもメスの方が凶暴、といわれることが多いようです。
メスより体格のいいオスが凶暴化するケースは、おもちゃで興奮しすぎた、掃除機に戦いを挑んだ、など好奇心の肥大からくる闘争心が多いようです。
対してメスの凶暴化は、自分の意に反して急接近された、知らない人が来たのに逃げ遅れた、などの神経質な理由で威嚇してしまうケースがよく見られます。自分の身を守るための行動の方がより切実、というわけなのです。
ロシアンブルーが凶暴になる原因とは?突然凶暴になることも?
ロシアンブルーは突然凶暴化する猫種なのでしょうか?
ロシアンブルーは特に凶暴?
ネットでは「犬のように暴れる」など、ことさらロシアンブルーが凶暴であるとのうわさを見かけることがあります。
しかし「ロシアンブルー=凶暴」という公式は、ほとんど“デマ”であると考えてよいでしょう。
猫は元来肉食動物ですし、もともと瞬発力の生き物なので、興奮したり危機を感じたりすると、当然、唸ったりとびかかったりという動作はしますよね。特にロシアンブルーの特性というわけではありません。
猫が凶暴になる原因
それでは突然「凶暴?!」というようなふるまいをするときの要因を考えてみましょう。
- シッポをつかむなど、人間が無礼だった
- 掃除機やドライヤーなど、音の大きな機械が動いていた
- 大嫌いな病院に連れて行かれた
- ごはんが普段より遅れていた
- トイレ・ハイだった(排便後に興奮すること)
- テリトリーが侵害された
- トラウマになる原因があった
最後の「トラウマ」も様々です。
お皿が割れた音、ガムテープが張り付いた、ビニール袋がガサガサいう音、モフっとしたぬいぐるみに対する恐怖など。これらは全部、本当にあった例です。このような時には、どんなネコでも凶暴化する可能性はあるのです。
ネコの凶暴化するサイン
- 余裕のない目線でガンを飛ばしてくる
- 牙をむいて「シャー」とうなる
- 爪を出してネコパンチする
- 噛みついてくる
こんなサインが出ているときには、決して深追いしないでください。クールダウンしてくれるまで、距離をおくことが必要です。
ロシアンブルーが特に嫌いなこと
では特に際立ってロシアンブルーが凶暴化するのは、どのような場合でしょうか。一番大きなものは「環境の変化」によってテリトリーが侵害されたケースですね。
物静かで頭のいいロシアンブルーにとって、日常生活の変化やご主人以外の人間、あるいはネコの増加はストレス以外の何者でもありません。
特に家から連れ出す時や、にぎやかな来客には注意した方がよいでしょう。ストレスが溜まることで、どんなネコもかなり凶暴な性格になるのです。
ロシアンブルーを凶暴化させない飼い方とは?
「ロシアンブルー、凶暴」などのキーワードの動画をご覧になったことはありますか?正直言って、心が痛みますね。
このような動画で見かける飼い主さん、あるいは撮影者のあやし方・対応の仕方は、どれも間違ったロシアンブルーの扱い方か、動画のためにわざと凶暴化させるパフォーマンスをしているとしか思えないものばかりです。
これからロシアンブルーを飼う方は、決して参考にしない方が良いと思います。
ロシアンブルーは先ほどからの話のとおり、元来は頭が良く穏やかな猫種です。どちらかというとシャイで、お気に入りのおもちゃ・お気に入りの場所・そして飼い主さんだけいれば満足してくれるのです。
運動量は多い方がよい猫種なので、お気に入りのおもちゃを見つけてあげて、一緒に遊ぶのは良いことだと思います。
ただし、子供のうちからしっかりと「噛まない」ということは教えるべきですね。
どの猫種にも共通することですが、一般的に多頭飼いだとネコ同士で自然に「甘かみ」を覚えます。家ネコとして暮らすうえでは、甘える時か、あくまで「ケンカごっこ」専用となる攻撃方法ですね。
飼い主とネコのマンツーマンだけで暮らしている場合は、人間側がきちんと教えてあげなければいけません。
ロシアンブルーは習慣重視の猫種なので、幼少期のうちから血を見るような痛いことをされた場合、飼い主がしっかりと「痛い」と言ってあげる必要があります。賢いので、人間の言葉でもきっとニュアンスは通じます。
しかし、そのようなしつけの際も、怒鳴りつけるのはNGです。
また、キャットタワーやケージなど、何かあったときに本人が隠れたりくつろいだりできる場所(テリトリー)を用意してあげることも良いでしょう。
カメラを無作法に向けたり、追いかけ回したり、目の前に急に顔を近づけたり、緊張しているときに下半身を触ったりなどということは、ロシアンブルーにとって最悪のコミュニケーションです。気をつけましょう。
ロシアンブルーが凶暴化した時の対処法を解説!
それではもし、ロシアンブルーが凶暴になってしまったら、どのように対応するべきなのでしょうか。
肝心な事は、
- 暴力を振るわない
- 大声で叱らない
- 深追いしない
この3点です。
子猫の場合は、ただのやんちゃな行動かもしれませんので、あまり激しく怒らず、凶暴化した原因を取り除くことが良いでしょう。
過度に興奮するおもちゃは交換する、嫌いな人間には近寄らせないようにする、あまりカメラなどを接近させないようにする、などです。
大人の場合は、人間の側も大怪我をする可能性があるので、要注意です。
噛まれた場合などは「痛い!」と、即座に意思表示はしてください。
ロシアンブルーのしかり方
- 大声でなく短い言葉で話しかける
- 手をパン!と叩く
- 霧吹きで水をかける
- 別室(トイレやバスルームでも可)で放置する
特に、暴力をふるう、怒り続けるために追いかけ回す、などの行動は逆効果なのでNGです。しつけにならず、飼い主との関係が悪化するだけです。
しばらくは距離を置き、あくまで本猫がクールダウンした後で話しかけたり、食事タイムまで関係改善を我慢したりしてください。
大人になるまで「噛み癖」が残ってしまった場合などは、矯正するのは難題です。しかし、基本的に頭が良いロシアンブルーは「話せばわかる」猫種です。互いの距離感を本猫と相談して、上手に考えて決めていきましょう。
もし凶暴化してしまった時、どうしても触れなくてはならない時は、手袋をお忘れなく。万一噛まれたりひっかかれたりした場合は、すぐに洗い流して必ず消毒してください。
ロシアンブルーに限らず、ネコが保有している菌は人間にとっては結構やっかいで、腫れあがったり、後に残るほど深く傷跡になったり、稀に「猫ひっかき病」といって高熱を発することもあります。
治りが遅いと感じた場合は、ためらわず病院に行ってください。
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