メインクーンは様々な猫種の中でもサイズが大きく、長毛の猫として有名です。そのため、飼い方や飼育に掛かる費用は他の猫とは同様でないことがあります。今回はメインクーンの飼い方や性格、飼育に掛かる食費やその他の費用について詳しくご紹介します。
メインクーンは性格が悪いって本当?嘘?
メインクーンは体が大きくゴージャスな見た目の割に大変温和な性格をしており、ジェントルジャイアント(穏やかで優しい巨人)と呼ばれています。聞き分けも良く、しつけもしやすいため初心者でも飼いやすい猫種です。
そのため、メインクーンの性格は良いと言えるでしょう。ちなみにメインクーンの性格は、
穏やかで人懐っこく、社交的でマイペースです。
また全ての猫に対して言えることですが、オスはやんちゃで飼い主さんに甘えたがり、メスはあまりベタベタせず一人で居たがる傾向があります。
メインクーンの寿命や大きさ、体重などの特徴は?
メインクーンの寿命は12~15歳であり、一般的な猫よりもやや短いです。しかし近年では完全室内飼いのメインクーンが増えているため、感染症のリスクの低下により平均寿命は少しずつ延びています。
メインクーンは様々な猫種の中でも特に大きく、その大きさは世界最長のギネス記録を持つ個体がいるほどです。体長の平均は100cm程度ですが、本来は野生の猫であったこともあり、かなり個体差があります。
以上のことから、平均サイズや体重だけでは太り過ぎもしくは、痩せ過ぎの判断ができません。そこでボディ・コンディション・スコア(BCS)と呼ばれる体型の評価方法をご紹介します。
BCSについて
BCSとは猫の体を観察したり触ったりすることによって、猫の体型が理想的か否かを評価するための方法です。BCSには5段階あり、BCS3が最も理想的、BCS5は太り過ぎ、BCS1は痩せ過ぎと評価します。
評価方法は、まず飼い猫の肋骨と腰の骨を触ります。次に上から観察し、肋骨の後ろの腰の部分にくびれがあるかを確認します。さらに横から観察し、お腹や腰の骨はどう見えるか確認します。
それぞれのステージの特徴は以下の通りです。
- BCS5肋骨が脂肪に覆われており、触れない。腰にくびれが無く、腰の骨にも厚い脂肪が付いている。
- BCS4肋骨が脂肪に覆われており、容易には触れない。腰の骨も脂肪に覆われており、くびれがほとんど無い。
- BCS3脂肪はややあるが、肋骨が触れる。腰にくびれがあり、腰の骨はなだらかに隆起が見られる。
- BCS2ほとんど脂肪が無く、肋骨や腰の骨に容易に触れる。腰に明瞭なくびれがある。
- BCS1脂肪が無く、肋骨や腰の骨に容易に触れる。腰のくびれは顕著で、横から見るとお腹がへこんでいる。
メインクーンは長毛種であるため一見しただけでは体型が分かりにくいですが、実際に触ることによって評価が可能です。
飼い猫がBCS3以外に当てはまる場合は、たとえ市販のフードに記載されている給餌量を守って与えていても、飼い猫には適していないことが考えられます。
標準体重や大きさの数字に縛られずに給餌量を調整して標準体型を目指しましょう。
メインクーンのしつけの仕方や飼い方のポイント、注意点は?
猫のしつけは人間の指示を求める習性がある犬と比較すると時間が掛かります。
しかしメインクーンは大変温和な性格で聞き分けも良いため、しつけは比較的しやすい猫種です。そのため、トイレや爪研ぎの場所は基本的にすんなり覚えてくれます。
例えばリビングやキッチン等の賑やかな場所にトイレを設置している場合は静かな場所に移したり、砂が汚れているもしくは、浅すぎる場合は砂を入れ替えたりすると、粗相をしなくなる場合が多いです。
加えて、粗相をして欲しくない場所に猫の嫌いな柑橘の臭いがするスプレーや芳香剤を置くと近寄らなくなり、更に効果的です。
爪研ぎも同様で、壁や家具で研いでしまう場合はそれまでの爪研ぎを替えたり、頻繁に爪を研ぐ場所に爪研ぎを設置したりして対処をしましょう。
猫の場合、犬のようにおやつを用いたしつけでは上手くいかないことが多いです。犬は食への関心が強く、好きな食べ物であれば直ぐに食べます。しかし猫は犬にように食への関心が強くありません。
そのためメインクーンにおやつを用いたしつけをしたところで犬ほど効率良く行うことは難しいです。
またメインクーンを飼う際のポイントは、体の大きさに十分配慮することです。メインクーンは体が大きい分、必要なスペースも一般的な猫より広いです。
その上、猫は地面の広さに加えて高さも必要な動物であり、必要な高さはおおよそ2mと言われています。高さを確保するために、飼い猫が安全に登れる場所やキャットタワーを自宅に設置しましょう。
メインクーンが掛かりやすい病気とは?
メインクーンは遺伝病や体の特徴によっておこる病気等、様々な病気が知られています。ここでは、特にメインクーンに多いとされる病気をいくつか紹介します。
脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)
これはメインクーンに多いとされる遺伝病の1つです。体幹や手足の運動を司る脊髄神経が消失することにより二次的に筋肉が萎縮し、震える、ジャンプができない等の症状が現れます。現在、効果的な治療法はありません。
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
これもメインクーンに多いとされる遺伝病です。嚢胞と呼ばれる液体の溜まった袋が腎臓に沢山できることにより、二次的に腎不全を引き起こします。
この病気も効果的な治療法は無く、日頃から水分補給を頻繁に行う等の腎不全に対する対症療法を行うことになります。
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)
これもメインクーンの遺伝病として知られており、生まれつき股関節が奇形を起こしていたり、生まれた当初は問題が無くても体が急激に大きくなることにより股関節の形成不全が起こったりすることが原因と考えられています。
まだ年齢も若く、特別な理由が無いのに歩き方や座り方がいつもと違う、運動をしたがらない等の症状が見られる場合は股関節形成不全が疑われます。
毛球症(もうきゅうしょう)
毛球症は長毛の猫全般に掛かりやすい病気です。グルーミングの際に飲み込んだ毛玉が胃や腸に詰まることで起こります。多くは嘔吐や下痢等の消化器症状、食欲不振を示すことが多いです。
毛球症では薬を用いて毛玉を除去することも可能ですが、詰まった場所や程度によっては手術が必要になることもあります。
グルーミングにより体内に毛玉を日頃から溜めないように、ブラッシングやシャンプー等の抜け毛対策を欠かさずに行いましょう。
また最近では毛玉ケア用のキャットフードも多く市販されているため、それらをを与えると尚効果的です。
肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)
これも遺伝子が原因とされる心臓病の1つですが、メインクーンでは後発という研究結果があります。
心臓の壁の筋肉が厚くなり、そのままにしておくと血管に血栓が詰まったり心不全を起こしたりすることがあり、突然死にも繋がる大変怖い病気です。
症状としては呼吸が荒くなる、運動したがらなくなる、失神が見られる等がありますが、無症状の例もあります。
肥大型心筋症は薬でコントロールすることが可能なため、なるべく早い段階で見つけてあげることが大切です。健康診断の際に心臓のエコー検査で発見できることもあるので、年1回程度は行うと良いでしょう。
体が大きいメインクーンにかかる食費とは?
メインクーンは体が大きいため、普通の猫に比べて食費もそれなりに掛かります。しかし値段はキャットフードによって差があるため、必要な費用を断言することはできません。
そのため例として、以下の2種類のキャットフードを用いて具体的な食費についてご説明します。
プレミアムキャットフード オリジンを与えた場合
まずは値段が高いキャットフードの代表として、オリジンを与えた場合の費用をご紹介します。メインクーンのオスの体重を7kg、メスを5kgとした場合、オスでは1日93g、メスでは1日76gの食事量が必要となります。
オリジンは1kgあたり約3,500円であるため、1ヶ月あたりの食費はオスで9,765円、メスでは7,980円が掛かる計算になります。さらに1年に換算すると、オスでは120,000円弱、メスでは100,000円弱の食費が必要になります。
KalKan ドライタイプを与えた場合
続いて値段が安いキャットフードの代表として、カルカンのドライタイプを与えた場合です。カルカンは1日あたり、オスで90g、メスで70gの食事が必要です。
カルカンは1kgあたり約400円であるため、1ヶ月あたりオスで1,080円、メスで840円と計算できます。同様に1年あたりではオスで約13,000円、メスで約10,000円の食費が掛かる計算になります。
メインクーンの飼育にかかる年間総費用はいくら?
メインクーンは体が大きい分、食費やトイレの砂の量が普通の猫より多く掛かります。
食費は前述の通り、オリジン等の高価なキャットフードを与えた場合は年間10~12万円程度が掛かり、カルカン等の安価なキャットフードを与えた場合は1万~1万3千円程度が必要となります。
次にトイレの砂の費用についてです。砂は体重が3~5kgの猫では1ヶ月あたり約10Lを消費します。しかしメインクーンは多く食べる分排泄も多いため、1ヶ月あたり約15Lは見ておくべきでしょう。
ちなみにスーパーやドラッグストア等で5Lあたり500円前後で販売されている鉱物系の猫砂を使用した場合、年間で約18,000円の砂代が掛かる計算になります。
また病院関係で掛かる費用としては、健康診断を年1回受ける場合、検査項目や動物病院によって多少の差はありますが約15,000円、ワクチン接種が約5,000円、フィラリア予防に5,000~10,000円程度を必要とします。
このことからメインクーンの飼育に掛かる年間総費用は、安価なフードを与えた場合で5~6万円程度、高価なフードであれば14~17万円程度が掛かる計算になります。
しかしこれらはあくまで必要最低限の費用であり、実際にはおもちゃやおやつ等、その他の費用も掛かるので予備費として1ヶ月あたり5,000~10,000円程度を用意しておくと無難でしょう。
メインクーンは穏やかで人懐っこい性格のため、しつけに手間が掛からず大変飼いやすい猫です。しかし体が大きい分、飼育には普通の猫よりも広いスペースが必要となります。
部屋は十分なスペースと高さを確保し、トイレやキャリーケースもなるべく大きい物を揃えましょう。
またメインクーンは普通の猫に比べて食費を始めとする飼育に掛かる費用が多額です。あらかじめ必要な経費を確認しておき、余裕を持って飼育をしましょう。
メインクーンは普通の猫の飼育とはいくつか違う点があります。飼い猫がストレスを溜めないために、飼い方のポイントをしっかり押さえておくことが重要です。
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